渓流の瀬のポイントと攻略方法は?
渓流の淵のポイントと攻め方に関しては、
に書いてみました。
今回は、またひとつの大きなポイントである瀬に関して書いてみたいと思います。
瀬の構造とポイントは?
瀬の構造は、水中にある石や岩によって大きく変わってきます。
その石や岩によって、カガミと緩流帯といった場所が形成されます。
どんな種類の瀬であったとしても、構造に関しては、流れの中に石や岩が点在しているかいないかで大きく変化してきます。
渓流の構造に関しては、渓流釣り初心者が覚えておきたい渓流の構造とは?を参考にしてくださいね。
石や岩は、それ自体が渓流魚の隠れ家として働く上に、流れを色々と非常に複雑に変化させるものです。
そして、その岩や石があることによって餌が集まりやすい状態になったり、流れの速さが魚たちにとってちょうど良い早さに変わったりするなど、魚の生息条件を満たす働きをするものなんです。
ちょっと例として見てみましょう。
突き出し岩
突き出し岩は、前回の記事渓流釣り初心者が覚えておきたい渓流の構造とは?の中でも説明させて頂きましたが、そのまんま、水面から突き出ている岩のことですね。
この岩に上流からの流れがぶつかると原理的に左右に分かれますよね。
この左右に分かれた流れは、またその両側から真っ直ぐに流れてくる流れの筋とぶつかり合います。
そのため、そこには緩流帯が形成されるんですね。
そして、水流は押されることによって、岩の裏側に流れ込みます。
流れ込んだ場所は、落ち込みの巻き返しと同じ状態になるんですが、その裏側は岩が流れをガードしているために典型的なカガミが形成されるんです。
ここを岩陰のタルミと呼びます。
ここは、魚が潜む可能性がものすごく高い場所になります。
また、いったん分かれた流れは、緩流帯を形成しながら、その両側の真っ直ぐな流れと混ざり合って、突き出し岩の数メートル先で合流します。
左右の緩流帯の終着点とも言える場所であり、左右から漂ってきた餌が集中して集まるため、ここも魚が格好の付き場としている場所でもあります。
最盛期には特に狙い目の場所ですね。
沈み石
この沈み石も、水の中で突き出し岩と同じような流れの変化を起こすため、非常に餌が集まりやすい状態になっています。
さらに沈み石の場合には、沈み石の上からも同じ現象が起きます。
ですので突き出し岩以上に餌が集まりやすい場所なんです。
石は小さくて扁平な形のものよりは、横幅もあって高さもある大きめの石の方が断然勝ります。
小さくて扁平な形のものが一時的な渓流魚の仮住まいだとすれば、横幅もあって高さもある大きな石が定住地となります。
なのでそこに住む一匹がもし釣られたとしても、次の魚がすぐに居付く場所になるんです。
ですから同じ場所で何匹も釣れたなどと言うことが起こりえます。
ここは、常時魚が居る状態の可能性が高い場所と言えるでしょう。
また石の下、底の部分がえぐれた構造になっている石の方が、付き場としては良い状態です。
というのもそのえぐれた部分が逃げ場になるからですね。
その場所を特定するのは、陸からでも以外に簡単で、上から見たときにその部分が黒っぽく見えます。
だから黒く見える部分をポイントと考えてフライを流すのが良いと思います。
流心のワキ
大きめの石や岩が見えないポイントエリアとか、水の量が多い川では、流れの表層を目安にポイントを選択します。
そのエリアを見渡して、最も流れが早くて流れも太いところを流心と言います。
全体の流れが比較的穏やかな深瀬とかザラ瀬、そしてトロ場状の場合には、この流心自体が緩流帯になっている場合が非常に多くて、ここがひとつのポイントにもなります。
早瀬や荒瀬では、その流心のちょうど両側に流芯のワキができるので、そこがポイントになります。
ヤマメなどは、盛期を迎えると本当に早い流れに潜んで、活発に餌を追い回します。
まさかそんなに早いところからと、ビックリさせられることが度々あります。
だから、仮に流心にいたとしても、その周辺の緩流帯も充分ヤマメにとっては、補食レンジ内なんです。
でも確実にフッキングさせるには、緩流帯を狙った方がより確実です。
このような流心ワキの周りには、カガミ状のところが広がっている場所が多くて、底が砂利などの場合には、魚が潜んでいる可能性は低いです。
渓流魚の特徴としてあまり砂利を好まない傾向があります。
特に砂が舞っているような場所です。
砂が呼吸機能面で問題を生じさせることが多いからかもしれませんね…。
瀬のポイントの攻略方法は?
上で簡単に書いた部分もあるのですが、改めてもう少し詳しく…。
石回りのポイントは分かり易い
突き出し岩のポイントは、まずは流れが突き出し岩にぶつかって分かれ、また合流するすこし手前を狙います。
盛期なら魚は、餌の最も集まりやすいこの場所に付いていることが多いです。
狙い方は、アップ・クロスでアプローチするのが基本です。
この投げ方の基本は、フライフィッシングではどこに立ってフライを流しますか?で書いていますので参考にしてくださいね。
フライは、先ほどの突き出し岩にぶつかって分かれた、2本の流れが合流するすこし手前の上流1~2メートルの地点に落とします。
2つの流れのどちらの流れでも構いません。
流れに乗せてきちんと流して、合流地点の下流1メートルくらいまで流しきるようにします。
これは、合流地点に魚が付いていたとしても、補食はもっと下流で行うのが普通だからです。
次に、突き出し岩のすぐ後ろのタルミを狙います。
ここは、先行者が居たり、人が多く入るフィールドの場合に付いていることが多いです。
攻め方は、淵の巻き返しと同じく、フライをそのまま漂わせる感じで流します。
またタッピングと言う行為にも有効な場所です。
その次に流すところは、突き出し岩にぶつかる前の手前の流れの両側の筋を流します。
渓流魚は、常に隠れているだけでなく、ポイントの周辺で、餌を補食しやすい流れを見極めて定位しているのが通常です。
ですので緩流帯が生じる先ほどの筋に潜んでいる可能性が高いです。
岩の上流2メートルくらいの地点に落としてから1メートル下流まで流してみるべきです。
そして次に、大きめの沈み石が水底に並ぶ深瀬を流します。
突き出し岩の周辺よりも狙い目はちょっと分かりにくいですが、流心であればビギナーでも分かり易いです。
単純な構造の深瀬でしたら、最も無難な攻め方になります。
また、大きな沈み石があると、突き出し岩と同じような作用が働いて、流れは水の中で分かれるんですが、上方向にも盛り上がるために、表層の流れにも相当な影響が出ます。
この影響によって周囲の流れが複雑に変化していきます。
水の流れってこうやって見ていくと面白いですよね。
目立った石や岩がないポイントは?
目立った岩や石のないエリアに関しても、実際の水中には中規模の沈み石がちらほらとあるのが普通で、陸からは確認出来ないだけです。
こういった場所は、中流域に多くみられ、落差はありませんが水流が豊かな落ち込みによって、その場所が平坦であっても、早くて重い流れが形成されているポイントエリアでもあります。
それに流心が激しく波立っているような場所もあったりします。
基本的な狙い目のポイントは、その流心のワキで、ほんの少しでも穏やかな流れがいいです。
この場所は、アップクロスで、流心の両ワキを順に流します。
川幅があり流心の幅も相当ある場合は、無理して奥のレーンまで流す必要はありません。
また盛期を迎えると流心には、大物が果敢にアタックしてくる場所でもあるんですね。
ですので、ここはウルフタイプのような浮力性の高いタイプ。
そして#10サイズくらいの大型のフライを使って、多少のドラッグが掛かっても気にせずに流してみることです。
波が立っている激しい流れでは、やはり水中からも発見されやすくて頑丈で大型のフライの方が圧倒的に有利になります。
ウルフタイプの他にエルクヘアを使ったタイプなども有効かと思います。
また、ブッシュがあるような場所の場合、ブッシュ下が高ポイントになります。
倒木の陰、そして草が覆い被さった場所も同じです。
これも理由は明らかだと思います。
隠れやすいから…。
ここは、上流側へリーチキャストを行って、ロッドも下流方向へ送りこむようにして、フライをブッシュの下に送り込みます。
上手く送りこむことができれば、こっちのものです。
きっとフライめがけてヤマメが飛びかかってくることでしょう^^
瀬のアプローチの注意点
瀬は、実際には、非常に複雑な構造になっているんです。
大小さまざまな突き出し岩がその辺にゴロゴロとあったり、強い流れが複雑に絡み合っている上に、沈み石やカブリ石などが入り組んでいて、非常に複雑きわまりない流れを形成している場所などが多いです。
フライを投げる場所や流し方も、非常に難しくなりますが、そうした場所であっても、やはり目安になるのは緩流帯とカガミです。
緩流帯は大きめのところ、カガミは中小規模のところが狙い目になる点を常に頭に入れておいてください。
これを忘れなければ、ポイントはすぐに見つかります。
突き出し岩がゴロゴロ並んでいるようなエリアでも、狙い目になるかどうかはその点が判断基準になりますよ。
また緩流帯の場合には、その上流から流れてくる流れの筋が必ずありますから、その2つを常にペアで捉えれば狙いやすくなります。
また、ヤマメはかなり離れたところを流れる餌に対しても果敢にアタックしてきます。
イワナに比べて補食レンジがかなり広くて、少々付き場から離れたところを流してもアタックは期待できます。
私も経験があるのですが、本当にヤマメは素早いですし補食レンジは広いです。
釣り上げたこちらがこんなところで!とビックリするくらいです。
ですので、流す筋にそれほど神経質になる必要はないかも知れません。
ただ、魚自体が無理を承知で離れたところからアタックしてくる点に加えて、流れが早いことも重なると補食の成功率と言った点では、格段に落ちてしまいます。
そのためフッキングできないと言った結果になります。
だから、ヤマメは難しいと言われる所以なんですが…。
でも今述べたことを考えれば、ヤマメだから難しいのではなく、そういった要因が揃っているから難しくなるだけなんですね。
イワナは早い流れにはいないので、簡単に思えるだけだと思います。
だからこそ、反対にヤマメは面白いとも言えますね^^